大野ぶどうの一番の特徴は、芳醇な香りととろける甘さです。大野産デラウェアの糖度は23~24という驚異的な高値。その甘さの秘密は土にあります。
丘陵地にある大野の土は礫粘土(れきねんど)といって砂と粘土を含んだ地質で、ぶどう栽培に適した保水力、保肥力を持っています。さらに落葉や油粕、骨粉を堆積発酵させた肥料を混ぜた土がベッドになり、強い甘みと日持ちのいいぶどうになります。
大野の丘陵地でぶどうが栽培されるようになったのは明治後期から大正の初め頃でした。多照で水はけのいい丘陵地がぶどう栽培に最適だと気付いた一軒の農家が、河内長野の栽培農家から苗木を分けてもらったのが始まりです。
大正6年頃には近隣の農家も「この土地でもぶどうはできるんだ、私たちも植えてみよう」と栽培が広がっていき、最盛期には40町歩(ヘクタール)を超す面積に百軒以上のぶどう農家があったといわれます。
しかし昭和30年代の狭山ニュータウンの開発、従事者の高齢化などによって廃業が続き、現在は34軒となりました。
それでも「先代から受け継いだぶどうの樹を守りたい」という農家の強い想いによって継承され、近年では味のよさに加えて新種やオリジナル品種に挑む農家が増え、知名度が広がっています。
栽培農家の熱い想いとたゆまぬ努力によってつくり続けられた大野ぶどう。平成21年には「大阪ミュージアム食生活部門ベストセレクション果物」に選ばれました。そのブランド力はますます高まっています。
一般に「ぶどうの産地は?」と尋ねると山梨県や長野県の名前が挙げられますが、大阪府も中河内や南河内がぶどうの一大産地として名を馳せ、現在も府内の2大生産地であることに変わりありません。
大野ぶどうはJAなどに流通されるのはごく少量で、大半は栽培農家が自分の直売所で販売していますが、多くのファンを持ち、毎年足繁く通ってくださる方も多くいらっしゃいます。近年では一部の品種をオンラインで発送できるようになり、全国にファンを増やし続けています。